「や・・・朽木隊長・・・・市丸隊長・・・・やめて・・・・・」

























そんなの声も虚しく響き渡る部屋。

ただ

二つの霊圧と刀が、激しくぶつかり合う音だけが聞こえた。































「やりますなぁ六番隊長サン。」


「・・・・黙って居ろ。」


「えぇやんか少しくらい。」


「気を抜くと貫くぞ。」


「ほぉ。やってみぃ。」





























――――――――――――キィンッ、ガキィンッッ





























『なんて霊圧・・・・目を開けて居るのが精一杯・・・・』




























何度も何度も交差し、何度も何度も鳴り響く刀。

はその考えられない霊圧に、
その場にへたり込んでしまった。

そう広くはない部屋。

居合を取るのさえ侭ならない。


筈なのに


隊長格はこれほどまでに

闘いの場慣れをしているものか。



はギュッと唇を噛み締め、目にも止まらぬ速さの剣技に見入っていた。
































「・・・・朽木隊長・・・・」
































名を呼んでも


白哉は迎えてくれない。


名を叫んでも


白哉はこの闘いを止めはしない。





だが、は止めたい一心だった。



自分なんかの為に

ちっぽけな自分なんかの為に



命まで賭ける必要が 無いと。














溢れる涙さえ 拭えない。














































―――――――――――――・・・その時。




















































――――――――――――――・・・キィィンッ




































「・・・・六番隊長サンも終わりやな。」





「・・・・ッ!」





「ホラ。もうアンタの首はボクの手の中や。」





「っ朽木隊長!!」

































白哉が市丸に捕らえられ、本棚に背を押し付けられた。


細い首を市丸がゆっくりと片手で包み

刀を喉元に掛けた。




緊迫。




白哉は涼しい顔をするが、
白哉の斬魄刀は 数メートル先に弾き飛ばされた。


異例な事ではあるが、霊圧を放ちすぎ 震えるに構った所為だった。


は重い身体を持ち上げ、壁に寄りかかるように凭れた。


































「・・・・このまま片手で締められるか、喉を斬られるかドチラか選ぶ?」




「・・・・・余裕だな。」




「・・・・アンタもな。」




「・・・此の侭私を殺す気か。」




「そやねー・・・。それも出来るんとちゃう?ボクが命握ってんやし。」




「・・・・・だったら時間の無駄だ。今すぐ私を「朽木隊長ッ!!」


























「―――――・・・・・・?」


















































突然発せられた甲高い声に

二人の動きは止まる。



白哉がゆっくりとを向けば、市丸も視線を向ける。




そこには


愛しい愛しい


震えながら、涙を流していた。








物凄い霊圧に耐え、見据えるような瞳で白哉と市丸を見詰める。












微かに



部屋の霊圧が下がった。











































「私なんかの為にこんな事しないで下さい!!ましてや命を捨てるなんて・・・・!!」



「・・・・」



「意味が分かりません!何でそんなに私に執着するのですか!?」



「・・・・・。」



「市丸隊長、朽木隊長を殺したら私も死にます・・・・ッだから・・・・・・」



「・・・・・・・」









































「――――――――――・・・・傷付け合わないで下さい・・・・・」




















































――――――――・・・・ポタッ。
















































の一滴の涙が



静かに


床を濡らした。

































































「・・・・・だってさ。どうする六番隊長サン。」



「・・・・兄が決めろ。の言う事に私が判断する事ではない。」



「・・・・そーやねぇ・・・・。六番隊長サンを殺してもが死ぬんだったら意味あらへんわ。」



「・・・・市丸・・隊長・・・・」



「・・・・・御免な。不安にさせてもうて。」



「・・・・ッ。」
































市丸が力なく笑い、白哉を解放した。



白哉は相変わらず無表情で市丸を見据える。


市丸はいつもの笑顔で白哉を見た。





そして




に聞こえないように、耳元に口を寄せた。


















































































「・・・・次は命無いと思えよ。」



















































































低く、低く、霊圧と共に発した言葉。


いつもの訛りではない市丸に、少し眉を潜めた。



そして

市丸は満足そうに笑みを浮かべると、座り込むの横を何事もなかったかのように通り過ぎた。





そう




何事も なかったかのように。

























































「・・・ほなな。」















































―――――――――――――・・・・パタン。















































「・・・・。」



「朽木たいちょ・・・・」



「・・・・・・・・?」



























































急な霊圧の消失に





の小さな身体は付いて行かず、










真っ白に 意識を 失った。









































































































NEXT








ギンがちぃっと優しい・・・・!?